第二話 韓流のワナ(解説)


何故韓国ドラマが日本人にウケるのか。
その理由は、よく言われることであるが、韓国ドラマで描かれる恋愛そのものが、
日本人の心の琴線を刺激するからに他ならない。


例えば「運命」という思想。
「人は皆、運命の相手と出会う」だとか、
「初恋の人と結婚に至るのが最も幸せなことである」だとか、そう信じられている。
例えば、愛情表現の描写。
ドラマの中では、キスシーンは1回くらいしかない。
愛情の表現はほとんどソフトな抱擁レベルだ。
恋人のいる者は、別の異性と何もなくともただ一晩一緒にいただけでも、その後で罪悪感に苛まれるのである。
(現在のリアル韓国社会では、そうではなくなりつつもあるが。)
例えば、登場人物。
理想の男性は誠実な王子様、理想の女性は貞淑な女性、として描かれる。
(このような恋愛の根底には、儒教キリスト教の思想が流れている。)


このような恋愛は、共同体崩壊や無宗教のためモラルが無くなり、快楽主義が行くとこまで行っちゃってる現代社会日本では実現は難しい。
しかしながら考えてみると、我々日本人だって、小さな子供の頃は、そう信じていたはずなのだ。
藤子不二夫のマンガでも、宮崎駿のアニメでも、また少女漫画の世界でも。
だから我々日本人は、韓国ドラマに、ノスタルジーを感じながら、そこにユートピアを見るのではないだろうか。