着うたフルというビジネスモデルの危機

日本ではソフトバンクモバイルよりiPhone発売
http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/press/2008/20080604_01/


ちょうど昨日は夏モデルの発表でしたので、記者からの質問を避けての翌日発表ということですね。
6/9には全世界的に3G iPhoneが発表されますので、詳しくは9日以降に明らかになるでしょう。


iPhoneが上陸して気になるのは、日本の音楽業界独自のビジネスモデル「着うたフル」とのバッティングです。
レコード会社(以下『メーカー』)はCDの不振を着うたでカバーしてきましたが、その主な購買層は(失礼な言い方ですが)いわゆるオンナ・コドモでした。
(着うたに限らず、そもそもポップミュージックのメインターゲットはオンナ・コドモです)


iPhoneにイチバン興味を示すのは、PCで音楽を聴く層ですから、オンナ・コドモ市場を直撃するわけではありません。
しかし、PCとの互換性やビットレートの低さ、価格の高さ、MNP非対応など、着うたの欠点がすべて解決されることは、長期的にみれば、着うたフルの危機に繋がると言えるでしょう。


ですが、逆に考えれば、何故これほどまでに着うたフルの人気が高いのか、メーカーは真剣に向き合う契機が訪れたとも言えるでしょう。


ユーザーはお金を払って着うたフルを購入していますが、あくまでシングルCDという商品の副次制作物であること、あくまでアルバムCDのプロモーションツールとして捉えていること、などからメーカーは着うたの「商品」としての認識がまだまだ足りないかもしれません。
そんな商品ですが、ファイルとしては着うたフルより優れているPC音楽配信以上に売れているという事実。
(着うたフルは、PCによる全シングルダウンロード数の約4倍売れている)


また、ブレイクする新人が激減しているなかで、数少ない2007年ブレイク新人のGReeeeeNやSoulJa(その流れを受けた青山テルマ)は、着うたプロモーションを仕掛けて成功しました。
それは業界では周知のことなのに、追随できていない。
つまりはメーカーが、着うた購入層の消費行動をいまだ分析しきれていないという事実。


もしかして着うたフルは、
サービスとしてのクオリティーを上げ、
購入層をリアルにイメージできれば
もっと愛されるかもしれない。
もっとブームになるかもしれない。


しかしそれを本気で行えば、CD離れをより加速させるかもしれない、そんな懸念がこれまではあったはずです。
ただ、現状維持のまま行けば、黒船はいつか鎖国日本に開国を迫ります。
この過渡期を何もせずにスルーすれば、一曲あたり単価の安いiTMSにせっかく生まれた着うたフル市場を奪われ、メーカーはさらなる減収減益に見舞われてしまうことでしょう。



聴きたい音楽を、聴きたいと思った瞬間に買いたい……
レンタルCDをマスターと呼びリッピングしても、ケータイへ移すのは面倒……
騙しアフィリリンクだらけの違法無料着うたフルサイトではなく、わかりやすい正規着うたフルサイトで買いたい……
DAPも欲しいけどガジェットは1台持ちしたいのでケータイ1台で済ませたい……


そういう着うたフルユーザー(オンナ・コドモ)の声をすべて叶えるのがiPhoneなのです。
i-modeの時と同じように、(敬意を込めた言い方ですが)いつだってオンナ・コドモは、頭のカタい我々の想像を遥かに超えるスピードで、新しいテクノロジーに対応するでしょう。


しかしメーカーのさらなる苦境は、ポップミュージックの死を招きます。
それは避けねばなりません。




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